女の問題って、女だけの問題じゃないんです

さて、わたくし伊地智は女ですので、性差別やジェンダー問題にも大変関心を持っています。

……本当は、そういうことではないんですけどね。女性のあり方が歪められているなら、男性も当然その分だけおかしな方向の引きずられているはず。実際、男性を“男らしさ”の神話から解放させようという《メンズリブ》運動もありますし、他方では更に幅広くLGBTの問題もあります。「男と女」にまつわる既存の固定観念は、私たちの生きるこの社会に抜きがたい差別と偏見と不自由をもたらしているということが、さまざまな分野からさまざまな形で指摘されるようになってきました。

だから本当は、全ての男性にジェンダー問題を「自分のこと」として考えて欲しいと思っています。私たちの多摩市でも今年から「男女平等参画条例」が施行されましたが、さて、どれだけ一般に認知されているでしょう? 先日のマタハラ裁判など勇気づけられる社会の動きもありますけれども、何しろ夫婦別姓さえいまだに実現しない国です。せっかくの条例を絵に描いた餅にしないため、女性たちと同じくらい男性陣にもぜひ! 頑張っていただきたいなあと強く切望しつつ。

10/25(土)、『「女性の活躍推進」の虚実』という公開講座に行ってきました。


●「家事係」を必要とする日本の労働状況

この日の基調講演は、ジャーナリストで和光大教授でもある竹信美恵子氏。
ちょっと時間が足りないのが残念でしたが、とても歯切れよく判りやすくて面白いという、この方ならではの実に聞きがいのあるスピーチでした。
日本のジェンダーギャップ指数が136ヶ国中105位だとか、特に女性議員の数が少ないとか、数値的なことならある程度は私も知っています。しかし「家事労働ハラスメント」の問題を訴える竹信先生のお話の中で目からウロコだったのは、

「日本の労働状況そのものが、専業主婦を必要とする性差別構造をはらんでいる」

という指摘でした。
そもそも労働者の就業時間数では日本が断トツでトップです。ここでは詳細なデータは省略しますが、日本人の残業時間が異様に長いというのはあちらこちらでよく聞く話。1日10~12時間働くことが当たり前とされている生活環境では、フルタイム労働者=オトコの正社員=働きアリたちに家事を担う余裕は全くない。
ここを何とかしない限り、ほとんどの女性は専業主婦になるか非正規パートで働くか、もしくは家族(大抵の場合は妻の親)に家事を負担して貰うしかありません。経済力があれば家政担当者を雇うという選択肢もありますが、それができる女性労働者は全体の数パーセントでしょう。

そして、頼る家族もなく非正規労働に甘んじるしかないシングルマザーがどんな生活を強いられるか、それはあえて書くまでもありますまい。
だから女は父なし子を生むな、とこの国の一部の人たちはどうやら考えているようですが、そんな戦前の家父長型システムにどれほどの価値があるでしょう。男は働きアリ、女は家事奴隷、それが「正しい日本家庭のあり方」だと私は断じて思いません。

女の問題は男の問題であり、妻の問題は夫の問題であり、子育ての問題は母親と父親の問題。そういう考え方が当たり前にならない限り、ヒトの世の中は決して今よりよくならないと思うのです。
安倍内閣の掲げる「女性の輝く社会」のビジョンの中に、私は今のところそんな幅広く深い視点を全く見出せていません。


●尊厳ある暮らしとは

会の後半はパネルディスカッション。
ヒューマン・ライツ・ナウの事務局長をしてらっしゃる伊藤和子弁護士が欠席で、進行は以下のメンバーで行われました。

成蹊大学教授の西村美香さん(司会)
リクルートキャリアフェロー、海老原嗣生さん
元ユニオン連合会の鴨桃代さん
毎日新聞記者の東海林智さん
立教大学教授の湯澤直美さん

色々なお話があったのでうまくまとめられませんが、とにかく「労働問題とは人権問題」なのだなと強く実感しました。もちろん、ジェンダー差別もそうです。特に今の日本では、どちらも奇妙にねじれた形でしか取り上げられないような気がします。

一方では少子化問題が懸念され、再び女性に「生めよ増やせよ」と迫ってくる面もあり。
もう一方では「女性の輝く社会」というスローガンのもと、女を結局安価で使い捨てしやすい労働力としか見ていない面もあり。

どちらか片方だけでも腹が立つのに、それがダブルで迫ってきたひとつの結果が先日の“マタハラ裁判”だと思います。重ねて言いますが、女性を使い捨てにする社会は男性の生き方をも歪めているのです。
湯澤先生はさまざまなデータを活用しながら話を進め、女性の貧困を「構造的暴力」と捉えて、日本社会の特質を踏まえた女性の貧困根絶を訴えておられました。私は、この暴力は男性をも蝕むものだと思っています。

生活保護バッシング、視覚障害者への暴力、はたまた子どもの声を騒音と思うか否か。

ひとりの人間を使い捨てにして顧みない社会は、さまざまな形をとって弱いもの・小さいものを虐げようとします。女性の尊厳ある生活を守ることは、この社会に生きる全ての人間の尊厳を守ることに繋がるし、繋がらなければそれはウソだと私は思います。でも、さあ、そのためにどうすればいいのでしょう?
学校の試験と違って、答えはこれから皆で作っていかなきゃならないのです。
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伊地智恭子

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