社会保障と福祉の現実

先週、市内でも《老舗》の高齢者福祉施設へ見学に伺いました。

こちらでは特養老人ホームに加えて、今はもう作られなくなってしまった「軽費老人ホーム」が併設されています。後者は低価格で高齢者の日常生活をサポートする施設で、現在はこれに代わるものとしてケアハウスが設置されるようになっています。

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ここのところ、気になったのでちょっと調べてみました。
軽費老人ホームは、原則として入居費用(敷金・礼金)や家賃が不要の施設。食事サービスが付けられるA型と、自炊が基本のB型に分かれます。
ケアハウスは軽費C型とも呼ばれ、基本的に軽費A型と同じく食事の提供がサービスに含まれます。違うのは、入居費用と家賃が必要な点。つまり、ある程度の経済力を備えた人向けの施設なのです。

国はA型B型の施設建設をやめ、C型の拡充に切り替えた。これはどういうことか。
「経済力のないお年寄りは、極力自活するか家族に面倒みてもらうかしてくださいね」
……どう考えてもそうとしか取れません。

実際、政府は増え続ける高齢者対策として「自助努力の奨励」を大きな眼目に据えています。要するに、「ぎりぎり切羽詰った状態になるまでは公的援助を頼るなよ」ということです。
でもこれは非常に矛盾した、社会的弱者をとことん冷遇する考え方です。

経済力のないお年寄りが自活に限界を感じたとき、ケアハウスには入れません。経済力がないんですから。
となると周囲(普通は家族)が支えるしかありませんが、そもそもそれで何とかなるなら誰も施設に入ろうとは考えない筈です。自活も無理、家族のケアも無理、だから施設にという運びになるのに、そこで《経済力》を基準として壁を作る。
これは、本当にサポートが必要な人を援助対象から外す制度です。どう考えてもそうなります。

じゃあ特養ホームを増やしているのかと言えば、もちろんそんなことはありません。それこそ「経済力がない人向け」の特養は○○年単位の順番待ちで、ただでさえ足りていないのに利用希望者の数は今後もどんどん増えるのです。それに特養に入れるのは要介護度の高い人だけですから、それ以外の人はやっぱり「自分で何とかしてね」となります。
自分で何とかできない人のための制度なのに。

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ともかくこの日、施設の総務課長さんに案内していただいて内部を見学しました。ちょうど古いベッドを新しいものに替える日で、スタッフの方が大量の介護ベッドを右に左にと忙しく動かしてらっしゃいました。
課長さんのお話では、やはり経営は楽ではないそうです。この設備投資でこつこつ貯めたお金も飛んでしまうけれど、お世話のことを考えたら古いベッドをいつまでも使うわけにはいかない。さまざまな苦労を抱えながらも「質の高いケア」のため必死で努力してらっしゃるスタッフの方々の、その努力が光り輝いて見えました。

別の機会に、市内の別のケアプラザも見学しましたが、そちらもスタッフの確保やケアの内容など悩みを抱えながらの運営のようです。
どちらの責任者も仕事に対してとても真摯で、お年寄りによりよい環境で気持ちよく過ごしていただこうと、誠心誠意努力したいらっしゃると感じました。

国は社会保障面の費用や負担を減らす一方なので、地方自治体の責任が今後ますます大きくなっていくでしょう。高齢化先進地帯の多摩市がどうしたらよいか、どうすれば介護の質を落とさず量を増やしていけるのか。
待ったなしの対応を迫られていると思います。
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