マイナンバー制度、誰のため?(3)

共通番号制度に関する院内集会レポート、次にご紹介するのは神奈川県保険医協会の事務局主幹・知念哲さんです。

医療業界ではマイナンバーについて「早い段階から警鐘を鳴らしていた」そうです。何故ならこの制度が現実化すれば、健康保険や民間の医療保険なども共通番号でひとくくりにされてしまう。個人情報の中でも最も扱いの難しい「センシティヴ情報」が、この情報だだ漏れ推進制度(注:伊地智の表現)に載っかると大変な悪禍を引き起こしかねないからだと。

医療情報がセンシティヴだというのは、ただ「こんな病気持ってるって人に知られたくないなー」程度の問題ではありません。ある人がAという病気を患っていたら、「Aによく効く薬」「A治療に特化した保険」を売りつけることができる、業界の商売人にとっては喉から手が出るほどほしい情報なわけです。これが漏洩の危機に晒される、本当に大変な事態となってきます。
病気に苦しんでいる人は、藁にもすがる思いで相手の営業口に乗ってしまうかもしれない。この制度を導入した結果、詐欺や不正売買のニュースには事欠かないこの国で、「人の弱味につけこむ」商売が増えないと誰が言えるでしょうか。

話はマイナンバーそのものから外れますが、知念さんは今の政権が「医療の市場化・産業化」を狙っていることを非常に懸念されていました。これは例のTPPとも連関してくる話で、つまり企業の論理がまかり通れば日本の国民皆保険制度は壊れてしまうからです。
ただでさえ、今はやたらと上から目線で「自助」「共助」が推奨される風潮となっています。いわゆる「社会保障と税の一体改革」の実態は、「社会保障はどんどん削って税金はどんどん上げちゃえ♪」に他ならないこと、私たちは既に身に沁みて知らされたのではなかったですか?

今、現実に政府内で検討されている医療改革法案には、以下のようなものが含まれるそうです。
・大病院(※どの程度の規模からか、については説明なし)を紹介状なしで受診した場合、5千~1万円の“料金”をとる
・混合診療オールOK
・入院時の食事代は患者負担分を段階的に増やし、現在の倍にしていく

皆さんどう思われますか。

これは産業界にお金を流すための仕組みであると、知念さんははっきりおっしゃっていました。
そして、この「医療で金儲けしよう!」の流れにマイナンバー制度が組み込むための方便「社会保障個人会計」なのだそうです。
つまり
「あなたはいくらいくらの税金を納めているから、いくらいくらまでの医療が受けられる」
「あなたは○○円しか所得がない(税金納めてない)から、○○円分の医療しか受けられませんよ」

国がやりたいことは、これであると。

けれども、と知念さんは話されました。
「もともと公的医療、あるいは社会保障というのは、所得金額に関係なく万人が等しく受けられるものです」
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皆が「自分に出せる分」を持ち寄って、皆が同じように安心・安全を保障される。それが社会保障の本来のあり方であり、機能でしょう。それを企業の論理で塗り変えてしまったら、そこにあるのは単なる「ビジネス」でしかありません。

社会保障個人会計とは要するに「個人のお金の出し入れを管理するもの」なのですが、それだけではあまりに露骨ということで、政府案では個人の医療情報や特定検診の情報なども管理対象に入れているそうです。
しかしそんな弥縫策では誤魔化しようもないほど、この制度に懸けた行政側の「庶民のカネむしり取ってやる」意欲は異様です(かつての小泉+竹中時代の景色が髣髴としますね)。
別に伊地智が曲解・邪推しているわけではなくて、何しろ初審議でこの制度をガンガン推進すべく論陣を張った平井議員は、
「レセプト情報をマイナンバー制度に入れたい」
と堂々とおっしゃったらしいですから。

レセプト情報とは、自治体や健康保険組合などの保険者が、医療機関から医療費を請求される際に受け取る明細書のこと。これには「患者氏名、性別、生年月日といった個人情報、患者の健康保険加入情報、請求元の医療機関名、診療科、病名、診療月に行った薬、注射、処置、手術、検査、画像診断、リハビリ等の点数が記載されて」(ウィキペディアよりコピペ)います。

繰り返しますが、命がけで個人情報保護しなけりゃならない時代に、こんな大切な情報まで紐付いた番号を、あなたは誰とも知れないバイト先におっちゃんに教えてあげたいと思いますか。
しかしここまで法整備に躍起になっている以上、施行されたら国はあらゆる場面で「お前のマイナンバーを教えろ。でなけりゃここは通さない」的な仕組みを作ってくるに違いないのです。たとえばこの就職難の時代、失業者が敢然とマイナンバー提出の義務をはねのけることができるでしょうか。
あなたの履歴書を受け取った事業者の誠意と管理能力を、信じて祈るしかないのでしょうか。

どうにもこうにも異様なのは、2年前にこの法案が出されたときは対象外だったレセプト情報を、施行されてもいない今から拡大利用のターゲットにしようとしている点です。
知念さんのご指摘によると、
国の「財政健全化政策」にのっとって、レセプト情報を医療費抑制のために使いたい、という国の本音が見え隠れしているとのこと。
要は、国民の健康・医療の面倒なんか国はみたくないということです。アメリカのようにみんな高い民間の保険に入ればいいので、入れない貧乏人はとっとと野垂れ死にしろと、つまりそういう方針なのです。

TPPの動きと合わせて見ると、これ、今の政権にとってはまことに都合のいい方策だということがよく判りますね。
1.国は医療費を負担しなくて済むし、
2.外資企業に日本でガンガン商売していただけるし、

まさに一石二鳥というところなんでしょう。
国費負担と言ったって、それはもともと私ら国民が一生懸命払っている税金なのに、それが私たちのためには使ってもらえない。私たちの国は、着々とそういう国づくりを進めつつあるようです。

世田谷区などではかなり早くからこの問題を追及していますが、なかなか進捗は厳しいもよう。
「共通番号を考える世田谷の会」の原田さんから、具体的な区への対応ぶりについてご説明がありました。
マイナンバー制度は当然コンピュータで管理しますから、セキュリティ対策万全のシステムと安全な中間サーバの構築が急務です。更に、情報漏洩の場合の責任者は誰かという問題もあります。
この日はどんどん時間が押してしまったので、どなたのお話もけっこう駆け足だったのですが、世田谷区では月末に「マイナンバー制度を考える集会」を開くそうです。こちらのご案内は、また別の記事を立てて載せます。
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ともかく国は、オリンピックに合わせた「テロ対策・安全対策」の名目で制度をゴリ押ししてくるでしょう。今の政権の強気ぶりと国会の頼りない感触では、法案が通ってしまう可能性は非常に高い。
ですが、それで一朝一夕にこの制度が全国津々浦々完備されるわけだはありません。とにかく大変なお金と労力と、そして技術がかかる問題です。
この日のまとめで言われたのは、絶対に諦めないこと。この闘いは長期戦になります。国会でも、地元でも、制度をなくすためにやれることは沢山あります。

私たちの生活は、私たちの手で守る。自治体議員として、一人の市民として、めげず臆さず皆さんと共闘していきたいと思います。
頑張りましょう。
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