おひとりさまの生き方・逝き方

今日は休会日だったので、一度は諦めた講演会にワガママ言って潜り込ませていただきました。
講師は上野千鶴子さん。講演場所は有料老人ホーム。テーマは「おひとりさま」の問題を中心に、老人介護と終末期の看取りについてです。
非常に面白く、かつ示唆に富んだお話をたくさん聞けました。さすが上野さん、お話が巧い!

余談ですが、私は上野さんの本を大昔(『スカートの下の劇場』あたり)から読んでいるので、余計に感慨深くてちょっとドキドキしました。どんなごっついフェミニズムの闘士が本を書いてらっしゃるのかと思ったら、何とも小柄で華奢な方でしたよ。
さて、「おひとりさま」問題のパイオニアとも言うべき上野さん。全国を飛び回って様々な事例を見聞きしておられ、丹念なフィールドワークに頭が下がります。

目からウロコのご指摘が続々、でした。
・高齢者自身が「施設に入りたい」ケースより、家族が「施設に入れたい」ケースの方が圧倒的に多いこと。
・大型施設を建てなくても(大型施設が必要だと思うから、山の上とか辺鄙な場所に造りがち)介護は可能。
・ひとり死イコール孤独死ではない。
・在宅で終末ケアは可能。
・政府が提唱する「地域包括ケアシステム」は、民間の有志の人たちが約20年かけて作り上げたシステムを真似たものであること。

高齢者が最後まで自宅で過ごすことは、条件さえ整えば(たとえ認知症などの問題があっても)できると上野さんは言います。その条件とは
1.本人の意志
2.介護力のある家族の同意
3.地域で訪問看護をしてくれる医療機関
4.ある程度の経済力
なのだそうです。

……相当ハードルが高い。
特に難しいのが2.だというのが、上野さんご自身の見聞を通してのご意見でした。やはり在宅介護は家族に負担がかかりますから、その理解と協力が必要なのは当然です。そしてやっぱり、様々な理由で高齢者の世話ができない・したくない家族というのは一定程度存在するのです。
ただ、私としては4.も気になるところです。政府が国民からカネをむしり取ろうとあの手この手を繰り出すご時世で、生きるのにかつかつの世帯はこれから増える一方でしょうから。
介護保険などのサポートからはみ出る金額を、「後このくらいなら出せるでしょう」という人が今、どのくらいいるのか。逆に言うと、「後このくらい」が出せない層が恐ろしい勢いで増えていることが、決して見過ごせない今の社会の大問題です。ここをいかにクリアするかが、私には重い宿題のうちの一つとなりました。

ところで、上記のような書き方をすると「家族が介護するのが当然だっていうのか」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかしそうではなくて、上野さんの主張は「在宅=家族が介護」という固定観念を外すこと、にあります。
上野さんの視点はまず、《介護を受ける側》にとって病院が最適の場所ではないこと(殆どの人が自宅介護を希望すること)に置かれています。病院は《避難所》であって《住まい》ではないからです。ですが、だから家族が全てを犠牲にして被介護者のために尽くしなさい、ということは一言もおっしゃっていません。むしろ、家族ではなくターミナルケアのプロに任せた方がよい、という考え方です(だから「おひとりさま」なのです)。

もちろん、家族の数だけ多種多様な事情が存在します。病院での介護が適切であるケースも、同居家族が介護を担うのが最善であるケースもあるでしょう。大切なのは、介護がまさしく“人のいとなみ”のど真ん中に作用するものであることです。それともう一つ、今の介護システムは同居家族に多大な皺寄せが行きやすい、非常によろしくない形になっているということです。
高齢化のピークは10年後。
私たちはどんな社会モデルを目指すべきなのか。それを考えるにあたり、今日のお話は大変参考になりました。
人は病院で最期を迎えるものだと、医療従事者も家族も最初から決めてかかっているけれど、そうでない考え方もある。どんな生き方・死に方をしたいかは本人が決める。介護する側、ましてや管理する側(福祉を切り捨てて「自助・共助」をむやみに奨励する政府!)のみの都合で高齢者を縛ってはならない。
「政治とは福祉のこと」がモットーの新米議員にとって、まるで砂漠で出会った水のような有難い勉強会でした。

議員としても、おひとりさま予備軍の一人としても、もっともっと勉強しなくちゃ!
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